コラム

おもちゃを買ったら銃刀法違反!?スカイマーシャルの何がいけなかったのか

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こんにちは、おのまとぺ(゜∀。)です!!

先般ミリタリー界隈である『おもちゃのピストル』が大きな話題となりました。 それは『スカイマーシャル』と呼ばれるスポンジ弾を飛ばすリボルバー型の玩具です。

まぁ、ずいぶんとかわいらしい色使い。 見るからにおもちゃといった風体のリボルバーですが、なんとこの玩具が『真正けん銃』と認定され警察が回収しているのです!

このスカイマーシャルはオレンジ色の弾を打ち出すオモチャでAmazonで普通に売られていたものです。 誰でも合法的に買える状態で販売されていました。 値段も数千円で買えるという手軽なものです。

威力は正直大したことない

このおもちゃは薬莢の中に入っているバネで弾を飛ばす仕組みになっています。 弾を薬莢に装填する際は薬莢の先端からオレンジ色の弾を押し込んでバネを圧縮します。 この薬莢を銃に装填し、引き金を引いてハンマーが落ちるとバネの力が解放されて弾が飛んでいくという仕組みです。

しかし、バネは薬莢に収まるほどの非常に小さいものですし、空気圧を使用するものでもないので威力はたかが知れています。 では一体何が問題で真正拳銃と認定されたのでしょうか?

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上の写真をご覧いただくと、このおもちゃのシリンダー(弾を入れる部分)は、薬莢を装填する穴が後ろから前まで貫通していることがお分かりいただけるかと思います。 後ろからカートリッジを入れて、前から弾を発射するので当たり前ですが、この形状は俗に貫通シリンダーと呼ばれています。

実はここが最大の問題といわれています。

貫通シリンダーの何が問題なのか

 シリンダーが貫通していると何が問題なのかというと、穴の直径さえ合致していれば簡単に実弾を装填できてしまうということです。 オートマチックタイプのガスブローバックガンではそもそもマガジンの形状が大きく異なるので同様の問題は起こりませんが、リボルバーは形状が近いためこういった問題が起こり得るわけです。

 実際東京マルイ製やタナカ製のガスリボルバーは貫通シリンダーを採用していません。 またカートリッジによる装填も再現されていません。

 しかし、一方でカートリッジ式のクラウンやコクサイ(古っ!w)のリボルバーはシリンダーの穴が前後に通っています。 なぜこれは問題とならないのでしょうか?

 それはシリンダーの前方が細くなっていて、実銃の弾が入らないような工夫がされているからです。 特に上の画像のエアガンを作っていたコクサイというメーカーは途中から自主規制としてこうした取り組みを行っていました。 クラウンについても同じようにシリンダーの出口が細くなっています。 拳銃弾の薬莢は基本的に寸胴なので、途中で細くなっていると装填が難しくなります。

もう一つ敏感なポイントは蓄圧式カート

 というわけで貫通シリンダーという構造がどうして警察につつかれたのかということはご理解いただけたかと思います。 ただ、警察から突っ込まれる可能性が高いポイントはこれだけではありません。

 もう一ついにしえのエアガンファンが耳にするとちょっと『えっ』となるのが『蓄圧式カートリッジ』というものです。 蓄圧式カートリッジというのは、BB弾だけでなくガスなどのパワーソースをカートリッジの中に納めてしまうという方式です。 この方式だとガスタンクをグリップなどに格納する必要が無いのでリアルな外観のエアガンを作り出すことができます。 こう聞くととても便利そうに思えますよね? 

 では、なぜ蓄圧式がそんな警戒されているかというと、実は蓄圧式カートリッジ自体の問題ではありません。 問題はこの方式のカートリッジを採用すると、構造上エアガンでも実銃に似た撃発機構を持つことになってしまうからなのです。

 実銃の銃弾は薬莢の中に火薬が入っており、その力で弾を押し出して発射します。 要は発射に必要な力と発射する物体が弾薬の中で完結しているわけです。 一方の銃本体は何をするかというと、薬莢の後部にあるプライマーという火薬をハンマーで叩いて発火させるという役割を担っています(バレルとかの話は割愛)。 なので推進力を火薬の燃焼から得ているかフロンガスから得ているかの違いだけで、実弾と蓄圧式カートは似たような存在なわけです。

 すると銃の本体側でもカートリッジ内のパワーソースを開放するという実銃と同じ仕事をすることになります。 また形状は実銃を模しているわけですから、ハンマーがカートリッジを叩いて撃発するという仕組みは同じということになってしまいます。 このことから実弾が発射しやすい構造になりがちなわけです。

 ここからは実際に過去に起こったトイガンの取り締まり事例をご紹介したいと思います。

 これまでに貫通式シリンダーや蓄圧式カートで問題になった事件は複数ありました。 今回は3つの事例をご紹介したいと思います。

コクサイ M29 事件

実銃のM29
Mike Cumpston – 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5330669による

 先ほどカートリッジ式のガスガンの例として挙げたコクサイ(国際産業)の『M29パワーアップマグナム』という製品が実銃と認定された事件です。 トイガンの主役がモデルガンからエアソフトガンへと移っていく過渡期に起こった事件です。

 このコクサイというメーカーはもともとはリボルバーのモデルガンで名を馳せた企業でしたが、業界の流れを敏感につかんでガスリボルバーの開発に取り組んでいました。 その中で蓄圧式カートリッジという方式を思いつきました。 というのも蓄圧式であればモデルガンに似た構造でも使用可能だったのです。 モデルガンメーカーならではの発想だったということですね。

 しかし、結局このM29は警察から実銃認定を受けてしまい、回収の憂き目にあってしました。 この事件に関して参議院の予算委員会でこの様な答弁が残されています。

私どもがこのガンを真正拳銃であると言っておりますのは、このプラスチックのガンにつけて売っておりますフロンガスによってプラスチックの弾を撃つ、この銃の本来のといいましょうか、それをくっつけて売っているそのものについて申しているわけではございませんで、特製の薬きょう、特に強化された薬きょうを用い、そしてその中に火薬を入れ金属製の弾頭をつけた場合に、このガンが打撃構造を持った撃発装置を持っているということからそちらの方に悪用される、こういうことでございます。

1986年3月28日の参議院予算委員会にて政府委員の新田勇氏の発言

要するに『蓄圧式カートリッジ』そのものではなく『蓄圧式カートリッジを撃発可能な装置』が実弾も発射しうるという点が問題視されていたわけですね。 これはその後の業界の自主規制にも関わってくるターニングポイントとなりました。

アサヒ M40 事件

 続いてはアサヒファイアーアームズというメーカーが製造したM40というライフルが発売中止になった事件です。 

ニュース番組でとりあげられた際の映像より

これはテレビが実銃への改造方法を放送してしまうという異常事態が起こりました。 もともとこのM40という製品は蓄圧式カートリッジを使用する製品ではあったものの、前方からバレルが後退しカートリッジを叩くという実弾の仕様が難しい仕組みになっていました。

 しかし、金属パーツが多用されており強度的に余裕があったことをはじめこのエアガンが持つ特性から、専用のアダプターを製作し22口径の銃弾を使用すると実弾を発射できるという実証がテレビで行われました。

 ただ、この場合エアガンそのものは実弾の仕様が難しい仕様であったのに、テレビ局がわざわざ撃針付きのアダプターを作ったので、実銃に該当する部分はアダプターだったのではないかという意見も出ています。 また、そのような使用方法を報道してしまったがために警察も回収に動かざるを得なくなってしまったという事情もある様です。 とはいえ、いち民間企業であるテレビ局で製作できてしまうもので実弾を発射できてしまうというのは危険ではありますね。

タナカ カシオペア

 おそらくこれらの事件の中で最も有名なのが、現在も存続する国内エアガンメーカーであるタナカから発売されたカシオペアシリーズです。 このカシオペアシリーズは貫通シリンダーを持ち、蓄圧式のカートリッジを使用するものでした。

この大きな迫力のあるリボルバーがカシオペアシリーズの製品の一つであるM500です。 通常リボルバータイプのガスガンはグリップ内にガスを入れることが多いのですが、このカシオペアシリーズでは薬莢の中にガスと弾をいれるという方式になっていました。

 しかし、老舗メーカーであり特にリボルバーに関しては第一人者ともいえるタナカさんが、蓄圧式カートリッジをエアガンに使用することのリスクを認識していないはずがありません。 実際カシオペアは薬莢後部を叩かないような仕組みに工夫されていました。 

 ですが、それでも科捜研の力で発砲可能な薬莢が作り出されてしまい、結局回収という事態になってしまいました。 ここにはエアガンの業界団体との折衝がうまくいっていなかったとか、いろいろ大人の事情もあるみたいですが自分はあまり詳しくないので触れません。

 蛇足ですが、現在タナカさんから販売されているペガサスリボルバーは当然のことならが合法の製品で、トリガーフィーリングが他のリボルバーとは一線を画すものになっています。 また仕上げも素晴らしく一丁手元に置いておくだけで大変満足感を得られるガスガンです。 ぜひ一度手に取ってみてください!(個人的なお気に入りはS&WのM10です)

 このようにエアガンの世界においては合法品として売られていたものが後になって違法と判断された事例があります。 そして、今回のエアーマーシャルの様に今後も起こり得ると思われます。 では、消費者はどのように買うものを判断したらよいのでしょうか?

 それはやはり月並みではありますが『普段から知識をつけておく』しかないのではないかと思います。 こういってしまっては元も子もありませんが、トイガンというセンシティブな趣味に手を出すなら自己防衛のためにも定期的な情報収集は必要だと思うのです。

 こういった玩具が危険と判断される事例にはある程度ポイントがあります。 今回の件の様に『貫通シリンダー』『蓄圧式カートリッジ』といった要素を覚えておけば、該当する製品を見かけときに購入を控えたり、問い合わせをするといった対応が可能になります。

 かつてはインターネットがあまり盛んでなく、情報源といったら『月間GUN』とか『アームズマガジン』『コンバットマガジン』といった雑誌かショップおっちゃんが定番でした。 そのような限られたソースしかなかった時代であれば、こういった規制の情報が広まる速度も速かったんじゃないかと思います。

 しかし、今やネットの時代となり消費者は情報の取捨選択を行う様になりました。 欲しい情報はたくさん入ってくるものの興味の無い情報には触れる機会が減ってしまったのです。 だからこそ自分で情報を得る努力が必要になりますし、ワタクシの様なブログをやっている人間は情報を正しく広める努力を求められていると考えています。

ずいぶん長い記事になってしまいましたが、エアガンは常に警察からにらまれており、世間様からも広く受け入れられているとはいいがたい趣味です。 この小さな界隈を守り、発展させていくためにも我々エンドユーザー一人一人が安全に楽しむ努力をしていきたいものですね!!

それでは!!

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